不動態化処理

2020年07月03日 21:29

ステンレスの不動態とは


ステンレスは一般の家庭でも台所用品など様々なところに使われています。

やかん、鍋、洋食器にはじまり、浴槽や建築金具まで用途は広がっています。

そんなステンレスの良さは、研磨して美しい点、そしてその美しさが錆びることなくいつまでも保たれる点です。

なぜ、ステンレスはいつまでも美しいままでいられるのかというと、表面に薄い耐食性を持つ膜(不動態皮膜)があるからです。

製造されたステンレス製品の表面にある不動態被膜は、加工過程で発生する様々な原因によって不完全な状態にあります。

この状態は不動態被膜の破壊などを引き起こしやすく錆の発生に繋がります。不動態化処理とはこの不完全な不動態被膜を本来の状態に戻し、さらにクロムに富んだ状態へ強化する表面処理であり、その目的は耐食性の向上(錆びないようにするため)です。

ステンレスがステンレスである所以である不動態皮膜ですが、コーティング皮膜ではないので剥離する危険性がないことから、医療・食品分野の装置・器具類の表面処理として注目されており、今後も不動態化皮膜を有効利用した製品や分野は広がっていくものと思われます。

日ごろ目にする上記の電車やタンクローリーの表面、ステンレス鍋・スプーンなども全て不動態皮膜が表面にあり、サビから守られているのです。

不動態に関する豆知識


不動態について本を調べると

不動態(不働態、不働体とも書く):
「金属の表面に酸化した被膜(薄膜)ができ、内部を酸による腐食や、酸化などから保護する状態のこと。

非常に酸化力の強い酸に曝された金属の表面にも不動態ができる場合がある。」
と書いてあります。

金属の表面なのでステンレスに限らず、酸化膜が形成されていれば不動態と呼びます。

不動態化処理の名称について


不動態化処理の呼び名はいくつかあるようです。

不動態化処理、不働態化処理(字が違う)、受動態処理、パッシベート、パシベート、パッシベーション、パシベーションなど色々な呼び名でご注文を受けますが、良く確認してみると大体は不動態化処理のことです。どれが正しいというわけではありませんが、中野科学では不動態化処理で統一して呼んでいます。

・不動態化処理
・不動態処理
・不働態化処理
・不働態処理
・受動態処理
・受動態化処理
・PASSIVATION
・PASSIVATE
・パッシベーション
・パッシベート
・パシベーション
・パシベート

不動態膜の正体は


ステンレスに含まれるクロムが酸素と結びついて表層につくる薄く緻密な膜が不動態膜です。

このクロムリッチな膜が腐食から素地を守ります。

逆にクロムと酸素の結びつきが塩素などで壊されたり、クロムの欠乏部があったりするとサビが発生しやすくなります。

ステンレスは錆びないはず


ステンレス素材の製品は工業的にも、一般の家庭用としても非常に多く使われています。

それらは曲げなどの板金加工、絞りなどのプレス加工や切削、溶接など様々な加工を施されているものがほとんどです。

本来ステンレスは大気中(酸素のある環境)で酸化膜を形成するため腐食しにくいのですが、機械加工や溶接などにより本来の耐食性が失われている場合があります。

これらの加工によりステンレスの耐食性は程度の差こそあれ、材料メーカーの出荷時点よりも落ちていると考えられます。
(材料メーカーの出荷したばかりのきれいなステンレスはかなりの耐食性があるともいえます。)

また、長期間在庫されたステンレスはホコリやごみの付着で腐食の基点となる不純物がついている可能性が高くなります。

実際に不動態化処理の依頼を受ける場合を見てみると、ステンレス自体が本来もっている耐食性が失われているケースがよくあります。

不動態処理はどうするの?


実際の不動態化処理はどのように行われるのでしょうか。不動態化処理は

・硝酸などの強酸化剤で処理する方法
・酸素のある雰囲気中で加熱する方法
・酸液中で陽極分極する方法

などがあります。

不動態化処理と他表面処理との比較

不動態化処理の特長


1、外観の変化がない
2、寸法の変化がない
3、硬度の変化がない
4、さまざまなステンレス素材に対応する

一番重要な耐食性ですが、その素材や加工歴で変わりますのでその用途や、環境に対して不動態化処理が有効な処理かどうかの確認をお客様のほうでしていただくようお願いしています。

それぞれの処理は単独で行なうことも可能ですが、問題解決(ヤケが取れにくい、既にさびてしまっているなど)や、グレードアップ(更に耐食性を高めたい、光沢が欲しいなど) する場合に、組み合わせて処理をします。

実際に組み合わせをどうすれば一番良いのかはお問い合わせをいただいて検討するのが良いのですが、参考としてどのような処理を選ぶのかチャートをご用意しております。

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